誰もが認める小学校受験の最難関校。多くの人が憧れを込めて「幼稚舎」と呼ぶその門をくぐることはもちろん簡単ではありません。ですが日本を代表する大学までの一貫教育という素晴らしい環境を手にすることができます。ここでは慶應義塾幼稚舎の特色や評判、入試情報、難易度などをご紹介していきます。
慶應義塾幼稚舎の風土・特徴は?
日本で最も古い私立小学校の一つ。お子さんが難関を突破すれば、在学中の2024年には創立150年を迎えます。慶應義塾幼稚舎の特徴や教育理念、雰囲気などを見ていきましょう。
慶應義塾幼稚舎の教育理念・教育方針
慶應義塾幼稚舎の教育理念は、創立者・福沢諭吉の教えである「独立自尊」を子どもたちが実践できるようになること。子どもたちが自分の持つさまざまな可能性に気づき、それを伸ばしていくことができるような場と機会を提供しています。
また福沢諭吉は「まず獣身を成して、のちに人心を養う」という言葉も残しています。「獣身」とは、少し驚いてしまうような言葉ですが、体を鍛えることの大切さを説いたもの。慶應義塾幼稚舎は勉強はもちろん、多くの体育行事や活動を取り入れているのも大きな特徴です。
さらに伝統を踏まえながらも、ICTへの対応、クラスを分割した少人数制授業、構内環境整備など、子どもの教育に必要な新しいことを積極的に採り入れており、長く、確固とした評価を獲得し続けていることは、当然のことと言えるでしょう。
慶應義塾幼稚舎の雰囲気
慶應義塾幼稚舎は、6年間クラス替えなく、同じ先生が6年間クラスを受け持つ「担任持ち上がり制」で知られています。担任には大きな自由度が与えられ、6年間を通して、文字通り「独立自尊」を目指す授業が展開されています。理科、音楽、体育、絵画などは専任の先生が担当し、担任が長い目で見守ることと、専門の先生が専門的な角度から見ることが組み合わされています。こうした環境から他では得難い一体感、仲間や他者を思いやる心が育まれています。
また、都心の学校には貴重な広いグランドがあり、体育の授業や運動会、校内行事はもちろん、休み時間や放課後などにグランドを走りまわって、フェアプレーの精神や協調心を身につけていきます。
慶應義塾幼稚舎の学費
慶應義塾幼稚舎の初年度の学費は約160万円。2021年度1年生の入学に必要な学費は以下のとおりです。
入学金 | 340,000円 |
授業料(年額) | 940,000円 |
教育充実費(年額) | 200,000円 |
文化費(年額) | 25,000円 |
給食費(年額) | 95,000円 |
入学時初年度納入金合計:1,600,000円
金額は、改定される可能性があります。また、この他に諸経費が必要になり、6年間で概ね1000万円程度になると思われます。
慶應義塾幼稚舎の入試情報
慶應幼稚舎の入試は、他校では必須とも言える「ペーパーテスト」と「面接」がなく、「運動」「行動観察」「絵画制作」が行われます。
慶應義塾幼稚舎を受けるのは、例年どんな受験者なの?
慶應義塾幼稚舎の入試は、日本最高クラスの教育環境を求めて、毎年、多くの志願者が集まります。2021年度1年生の募集人数は、男子96名、女子48名、合計144名。一方、2020年秋に行われた入試の志願者は男子1029名・女子722名の1,751名で、倍率は男子10倍以上、女子はなんと約15倍にもなりました。
慶應義塾幼稚舎は教育方針として「独立自尊」を掲げており、入試では自分でしっかり考え、自由な発想ができる受験生が合格する傾向があります。面接やペーパーテストがないのは、詰め込まれた知識や受験対策にとらわれていない、大きな可能性を秘めた受験生を求めているからと言えます。
しばしば親が卒業生だったり、兄弟姉妹が在学していると有利などと言われます。確かにその可能性はないとは言えませんが、何の縁故を持たない受験生も合格しています。
慶應義塾幼稚舎の試験内容
試験は、運動、行動観察、絵画制作の3つ、時間は約1時間30分程度です。ペーパーテスト、面接がないユニークな内容ですので、「ありのままの姿」を見せつつも、福沢諭吉の教えを実践できる子どもであることをしっかりアピールする必要があります。
運動は「獣身」のベースとなる基本的な運動能力のほか、先生の指示を聞き取る力、指示にすぐに反応して表現する力、そしてルールを守ることが問われます。
行動観察ではグループに分かれて、ゲームや自由遊びを行います。集団でのやり取りや遊びの中から、素の姿をチェックすると言われ、協調性やコミュニケーション能力が大切になります。
絵画制作は幼稚舎の入試の特徴でもあり、単に手先の器用さや絵の上手さを見ているのではなく、発想力、想像力が問われます。日頃から個性を伸ばし、のびのびと表現する力をつけていくことが大切になります。
慶應義塾幼稚舎の受験情報
2023年度1年生の入学試験情報をご紹介します。
慶應義塾幼稚舎の受験スケジュール
- 学校説明会
- 7月4日(土)・5日(日)
- ただし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大を考慮して中止。
- 7月4日(土)・5日(日)
- 募集要項販売
- 9月6日(木)〜9月30日(水)
- 販売場所:慶應義塾幼稚舎および慶應義塾大学三田キャンパス正門警備室
- 価格:一部1,000円、男子用と女子用があります。
- 9月6日(木)〜9月30日(水)
- 願書受付(web)
- 9月15日(木)〜9月30日(金)
- 願書受付(郵送)
- 10月1日(土)〜10月3日(月)
- 入学試験
- 2022年11月1日(火)~ 9日(水)のうち1日
- 合格発表
- 未定
慶應義塾幼稚舎の募集人数
2022年度 入学試験の志願者数は次のとおりでした。
志願者数 男子 978名 女子 700名 計 1,678名
慶應義塾幼稚舎の試験会場
住所:東京都渋谷区恵比寿2-35-1
アクセス:東京メトロ日比谷線の広尾駅から徒歩7〜8分。
慶應義塾幼稚舎へ合格するために
ペーパーテストと面接がないユニークな慶應義塾幼稚舎の入試。合格には何が必要でしょうか。
慶應義塾幼稚舎に合格する子どもの特徴
発想力が豊か、積極的、明るくて朗らか、得意なことに夢中になる……合格した受験生の体験記などを読むと、「なるほど」と思えることが書いてあります。ですが、そうしたことは一朝一夕で身につくことではありませんし、付け焼き刃で対策できるものでもありません。ましてお子さんの性格を短期間で変えることなど、できません。
慶應義塾幼稚舎が求めているのは、創立者である福沢諭吉が唱えた「独立自尊」を実践できる子どもです。冒頭に並べた特徴は「独立自尊」を実践できるお子さんの一面に過ぎません。お子さんの可能性、個性はさまざまです。一人の人間、個性としてお子さんを認め、可能性と個性を可能な限り伸ばしてあげてください。ステレオタイプな優等生タイプに整えてしまわないようにしてください。お子さんの光るところ、秘めている可能性を見つけ出してくれるのが慶應義塾幼稚舎の入試です。
慶應義塾幼稚舎のおすすめの受験対策や準備
可能性や個性を大切にしつつも、学校生活、そしてその後の社会生活で求められる協調性・コミュニケーション能力が入試では問われます。運動、行動観察、絵画制作のいずれにおいても、まず先生の指示をしっかり聞き、理解し、守ることができるようにしましょう。入試の途中の教室移動などでも、先生は受験生の行動、振る舞いを見ています。
運動は、さまざまな動きがお手本通りにできるようトレーニングし、「行動観察」では、他の受験生とコミュニケーションを取り、協力できるようにしておきましょう。
絵画制作は、幼稚舎の特徴で対策が難しいですが、発想力、想像力、オリジナリティが表現できることが大切。また試験中に「何を書いていますか?」などの質問がありますので、しっかり準備しておきます。
また、慶應義塾幼稚舎の入試は面接がないため、願書が重要になります。「自由記入欄」と「お子さんを育てるにあたって『福翁自伝』を読んで感じるところをお書きください」という欄は親の責任。事前に取り組めることですので、慌てず、万全の準備をしてください。
「独立自尊」という創立者の言葉を受け止めて
小学校受験の最高峰、慶應義塾幼稚舎の入試についてお伝えしてきました。日本有数の最難関校でありながら、ペーパーテストと面接がないユニークな入試は、ご家庭での日頃のお子さんへの接し方、生活習慣などが問われるものです。「独立自尊」という創立者・福沢諭吉の言葉を受け止め、お子さんの可能性、個性を大切にしながら、トレーニングできることは、十分にトレーニングして入試に臨んでください。